小さい頃からカメラが好きで、家にはバルナックライカのデッドコピー機があったものの、子供にはとても使いこなせるものではありませんでした。
時代は一眼レフ全盛期。
しかし、小学生だった私にはたとえ中古でも手の届くものではなく、お小遣いを節約しお年玉も全額ぶちこんでようやく買えたのがこのカメラでした。
ミノルタの「ポケットオートパック450E」。110判のフィルムを使う、俗に言う「ポケットカメラ」でした。
ピント合わせは目測によるゾーンフォーカス式。露出はお天気マークで合わせ、暗くなるとフラッシュを発光させるよう警告灯がファインダー内に点灯しました。
ただ、警告灯は本当に「点灯」するだけ。発光させるにはオレンジ色のつまみ(右側)を操作して、手動でポップアップさせる必要がありました。
フィルム装填は裏蓋を開き、カートリッジを放り込むだけ。この簡便さがこの手のカメラが普及した一番の要因ではないでしょうか。
今となっては信じがたいかもしれませんが、通常の35ミリフィルムですら自分でカメラに装填できず、街の写真屋さんに頼む人がいた時代です。
巻き戻しも不要で、フィルムの最後まで巻き上げたらそのままカートリッジを取り出すだけでした。
ちなみに中央奥に見えているのがレンズで、ちょっと調べてみたら、ロッコールの26mmF3.5だとのこと(カメラには一切表記はありません)。右端(ボケていますが…)はファインダーです。
カメラ底面に印刷されたフラッシュ光の到達範囲と、ゾーンフォーカスの目安。
ネガフィルムの表記はともかく、面白いのはリバーサルと黒白フィルムの表記もあること。
高感度(ASA400)のフィルムが売られているのは見たことがありますが、リバーサルと黒白は見たことがありません。おそらく、この規格の言いだしっぺであるKODAKがラインナップしていたのでしょうが…。
残念ながら、このカメラで撮影した写真のプリント・ネガは手元にありません。ただ、子供心にも、親が35mmカメラで撮ってくれたプリントと比べ、「写りが悪いなぁ」と感じたのは覚えています。
もし、リバーサルや黒白で撮っていたらどうだったろうと、今でも思います。
でも、黒白はともかく、リバーサルはどうやって鑑賞したんだろ。
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